君と逢える約束の場所 chapter7

次の日の朝。

扉を叩く音。もう十分にしたくをした僕は、胸が高鳴って壊れそうだった……。
嬉しくて、扉を開けた瞬間、そこには、ゴンたち動植物のみなみなが、行儀よく並んで立っていた。
そこに、ティナはいなかった……。

ガビィ~~ン

リーダーのゴン:「ティナが丘で待っています…。僕たちと一緒に来てください…。
道すがら、この星の、森の秘密をお伝えしてゆきます……。」

たける:僕は、美しき動植物さんたちと、デートとなった……。
ティナは、僕が帰ろうとしていることに気づいている……友だちのこと……
父母、特にきっと待ってるリリのこと……。分離世界で苦しむ仲間たちのこと……。
だから……お 別 れ( さ よ な ら ) の前に、と言ったのだ……

みんなと共に歩いている…。幸せな気持ち…。風が心地よい…体の中に溶けてしまうように…
実際、そうなのかも……みなも溶けている……

ゴン:「岩に入ってみましょう…。」

森の中、滝のある崖にゴンさんが入ろうと言った……。
ついてゆくと、みな岩の中に溶けたように入っていた…。
僕もそうした……半分霊的な世界ゆえのマジックだ……。
岩の中は暗いと想像するだろうが、キラキラと輝き、自分のからだは消え、癒され、溶けてゆく…。

岩が自分か、自分が崖になったのか、わからなくなった……動植物さんたちとも共に溶けて、一体になってしまった…。みなと共に溶けてしまった素粒子の中から、崖の上に出た…。

ティナ:「待っていました…。崖の中はどうだった……。」

たける:「綺麗でした…ティナ…」

ティナ:「まぁいいです…。ではデートよ…みんなで……」

たける:「エッ!エェ~~み ん な~~!動植物さんたちも……」

ティナ:「うれしい?……」

たける:「あっ…あっ…ハイ……」

ティナ:「マ ジ メ………」

たける:「ありがとうございます……。」

ティナ:「今からみんなで美しい森の美しい水、池で泳ぎましょ……。」

美しき森の中で、光輝く水へ……キラキラとまぶしいほどの光が、からだをすり抜けてゆく……

ゴンたちが水の中に溶けてゆく……このあと信じられないものを見る……
美しきティナが服を脱いで、水に入っていったのだ………
信じられない光景だ…なんとキレイなんだ………。
僕も服を脱いで水の中へ…
あたたかい…いや、水じゃない、素粒子ゆえに、混ざってしまう感覚は、体験したこともない不可思議な心地よさだ……。
水となり、水は僕となった……。

ゴンたちとも溶け、ティナとも……し ふ く 幸せ すべてとひとつとなった……

快楽は、極限までつらぬいた…僕は、初めて、はじめて、水となった……。
初めての、とんでもない快感は、人間界のあらゆるものを遥かにこえている……。
自我の肉体がないということは、こんなにもとんでもない至福なのか……
我がないとき、人は真に幸せになる…快感の中に入る…。
我のとき、重く、苦しい……。すべてと共に溶けるとき、至福に、幸せとなり、逆に分かたれて、分離したと勘違いしたら、苦しくなるのだ……。
僕はつくづく、それを感じ取って、真実を悟ることとなった…。
生きる喜び、生きる幸せ、最高の人生はある。一体のときに…。

神はいないと言う人がよくいるが、彼らは自我の中で苦しんでいるに過ぎない。
そこから出る喜びを知らないだけだ……。

自分、要は自我、分離は、人を不幸せに。
一体に溶けるなら、あらゆる至福と快感を人類は得る…。

僕は、すべての答えをすでに得ていた。人類は、分離を終わらせ、真の現実の中に、一体の中に溶けなければならない…と、つくづく感じた…。そして、その至福からのみ、初めて美しき文明が生まれる…何千年…何万年続く、愛の楽園を生み出せるのだ…。

泳ぎ疲れたのか…いや、あまりの至福に失神しているように…僕は水辺の砂の上に、境界線もなく、溶けていた……。流れるときをこえた喜び…。

ティナ:「今から…丘の上の大きな木の下で、たけるくんと大事なデート…いいえ、お話があるから、みんなは帰って……」

動植物さんたちみんな:「エッ~~!何…ウソ…」
動植物さんたちは、何か不満げに、互いに見つめあった…。
僕だけは、その中でひとり、嬉しそうだった…

これも自我か?……
わからなかった……。
大きな栗の木の下だった……ティナは綺麗だった……

ティナ:「もし、あなたが帰ってしまい、もう戻れなくなったら…と…不安に感じる…何かある…でも……あなたはすぐに帰る方がいい……」

たける:「えっ!なんでそれ、どうゆうこと……。」

ティナ:「わ か ら な い…
だから今日、お別れのうたげを開くことに、
みんなで決めました…明日、あなたは戻って……。」

たける:「えっ…でも…僕は、ここが……」

ティナ:「だめなの。大事なこと。帰らないとだめ…。何かある……。」

ティナ:「それでたける、もしあなたがここに戻れなくなったら……。」

たける:「そんなことないヨ………。」

ティナ:「もしもよ……だから、私はいつも、この丘で、この木の下で、何万年でも、あなたを待っているから…それを忘れないで……。」

たける:「ティナ……」
美しき風が、からだの中を通り抜けてゆく…。
素晴らしき世界に、僕は愛しくて抱きしめたかった…でもできなかった……。

ティナ:「そ れ か ら…もし、傷つくようなことが、つらいことがあって、傷つけられたとしても、戦ってはだめ…ここでの真実を、いつも胸に抱き…私を抱き…すべてを……抱きしめて……す べ て を…ゆ る す……。」

ティナと僕は、森の中を美しい世界の中を、愛でいっぱいで、胸いっぱいで、二人歩いた…

生まれてはじめて、愛しさは僕を貫き…愛は僕を崩した……

明日、僕は、一万年先の世界へ帰る…。

 

「君と逢える約束の場所 chapter7」への1件のフィードバック

  1. 1万5千年前の記憶を思い出したという、カップルのお話を聞きました。約束通り会えて、男性の方が、当時の事を話してくださいましたが、全部はよめてないのですが、とても、共通点があります。このような形で、一般に広めていくのは、ほんとに最適なことかとおもいます。出来上がりが楽しみです。

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