君と逢える約束の場所 Chapter 5

ティナの研究室

次の日も、次の日もティナは研究室に向かい、一日そこを出なかった…。

仲間たちとともに、僕たち未来人のために研究を続ける努力を惜しまないティナであった…。

たけるの部屋の扉の前

男の人ヤン:「たけるさん、ティナが研究室であなたを呼んでいます。来ていただきたいと…。」

たける:「わかりました。したくが済み次第、すぐ行くとお伝えください…。」

ヤン:「ありがとうございます…。」

 

みんな誠実で良き人たちだ…。誰のこともまるで愛してしまうようだ…。

僕は、急いで用意をし、ティナの研究室に向かった。

研究室の前で、扉ごしにみなの声が聞こえてきた…。

 

ヤン:「やはりそのことは、たけるさんに伝えるべきでは…。」

 

女の人ヨミ:「一体を失ったらどうなるのかは、つらいことでしかありません…。」

 

ウェル:「しかし、お伝えしたほうが…。」

 

ティナ:「すべては万物が決めることは、人類は知るべきです…。」

 

みんな:「…………。」

 

トントン

たける:「タケル、参りました…。」

 

ティナ:「やっぱり、マ ジ メ…。フフフ…。」

 

ティナ(ひとりごと):彼はこえれる…

 

ウェル:「たけるさん、私たちはあなたのお父様と約束をしました…。
彼は大変誠実な方です。私たち、彼を愛しました…。そして、人類を愛するあの方の想いのため、この研究室が生まれました…。未 来 の 人 類 を ど う し た ら 救 え る の か……
隔たりである分離を人類がこえれるのか……。」

 

ヨミ:「あなたのお父様は、私たちに必死に頼まれました。世界の人々を救いたいと…私たちの未来を…。
私たちは涙があふれ、一万年先の未来のため、あなたのお父様の想いのため、ずっと未来の人の悲しみを癒やすものを探し続けています…。彼の誠実な純粋な想いを叶えたくて…。」

 

たける:僕は、何も父のことを知らない…。今つくづくそう感じる…悲しい…嫌いだ…でも、愛しいのか…お父さん…ゴメン…。悲しいのに、好きになるのはなぜか…。

立ち尽くすたけるに…ティナが…。

 

ティナ:「たける、今から私たちが伝えることは、未来の人類にとって、とてもつらいことよ…。
もしかしたら、私たちにとっても……。」

 

たける:「えっ!……」

 

ティナ:「分離は神が嫌う…。ひとつなる創造の主体の私たちは、分かたれをケガレと認識し、払おうとする…。そのメッセージの強さは、核分裂に匹敵する…。

本当は一体なるイヤシロの世界の中、
分離をもし妄信したなら、たぶん人類に…そして個人にも…未来はない…。」

 

ティナ:「これから、それぞれの担当が、研究成果のほんのさわりを伝えるわね…いい…?」

 

たける:「ハッ…ハイ!…」

 

ティナ:「それでは、原因担当のヨミ、伝えて…」

 

ヨミ:「ハイ…。なぜ、人が楽園を出てしまったのかです…。ひとつの一体のものの部分に、それぞれ名称をつけ、そうです言葉というものを生み、これも一体を分解するというものでありますが、名前をつけ、分かたりを感じさせます…。

そのときから、分子と未来の人類の方々が呼んでいるそれぞれは物質化を強めます…。

次に人類は、その名称からくる分離感を、本気で信じはじめ、自我と他、自分と別であるを信じはじめました。そして、知識と呼ぶ、名称づけでできている考えを強く信じはじめ、分 か た れを信じてゆきます…。よろしいでしょうか…。たけるさん…。」

 

たける:「アッ…アッハイ……。」

 

ティナ:「次に五感です。それぞれが自ら部分を制御するため、それは便利さのために創造が生み出したもの。部分を五感で管理する目的で作られたと思われる五感は…ハイ、ヨミどうぞ…。」

 

ヨミ:「ハイ、そうです。五感の特に触覚しょっかくは、自ら万物の部分を守る、また動かすには必要なものですが、ここまでが自分であるという信念、観念を強めてしまうことともなります…。そうなると、体の物質化、分子化が進みます。動植物さんたちも、触覚のため、自と他を強く区別しはじめてしまいます…。

 

ティナ:「五感の効能についてはどうでしょう…。」

 

ヨミ:「それは、特に防衛系。例えば、倒れない。落ちない。よける。痛み、傷を知ることで治そうとするなどの、必要とされるものが多々あります…。逆に、防衛系が強化されるため、注意も必要です…。」

 

ティナ:「過剰な防衛、また、猜疑さいぎしん疑心ぎしん暗鬼あんきとか?…」

 

ヨミ:「ハイ…要するに、必要かつ慎重に扱わなければ、これも分離感を即す、分かたりの原因になると
想われます…。」

 

ヨミ:「それから、そこから生まれた名称や五感をあまりに信じすぎると、自我が強化され、物質化が進み、一体や未知が失われ、創造の想念界が薄まり、物質、分子界が濃く増えてゆきます。

デメリットとしては、その信念から生まれる観念たちは、人を恐れの中に誘います…。」

 

ティナ:「たける、聞いてる?…ぼーっとしてる?…。」

 

たける:「アッハッ…ハイ」

 

ティナ:「やっぱり…マ ジ メ」

 

たける:この人たちこそ、本当にまじめに父の頼みを本気にして頑張ってくれている…。

そして父は必死に、僕らの未来を良くするために、命をもかけていた…。校長先生もそれを知っていた…。

僕は知らず、ただ、ダラダラ生きてきた…気がする…なぜか か な し く て つ ら い…
…そしてなぜか う れ し い…

 

たける(なにかビシッと…):「ハイ、聞いています…先をお願い…します…」

 

ティナ:「ちゃんとし て る…」

 

ヨミ:「続けます…物質化について…シッディテクノロジーについてです…。

この世界は創造主体の想念でできています…。その子、部分、分身である私たちにも、その物質化が許されている範囲があります…。

その万物の子たちの身近な出来事は、私たちや近くの人々の想念、また、想いの集合によって、現すことができるようになっています…想念の確信が、分子化、物質化を強めます…一体性を持ったリアリティーの価値観は、電子がきれいに美しく回り、私たちがイヤシロと呼ぶ状態を創ります…。

また、分離感から生まれる、また影響を受ける分子、原子は、電子がきれいに回りません…。私たちは、それをけがれたと呼びます…。ここまではよろしいでしょうか?…」

 

たける:「ハイ」

 

ヨミ:「そこからできた分子の物質界は、エントロピーと皆さんが呼ぶ劣化が必ず増大する世界となります…。腐食や酸化のことでもあります…。」

 

ティナ:「ヨミ、そこで待って…」

 

ヨミ:「ハイ」

 

ティナ:「たける、ここまではいい?」

 

たける:「アッ…ハイ…」

 

ティナ:「壁に入ったとき、光輝いていたでしょ…岩なのに…」

 

たける:「そ・う・だ・ね…」

 

ティナ:「岩は現実じゃない。すべてこの世界は想念の海なの。美しき神の夢。あなたたちは、それを素粒子とか、電子、フォトン、またプラズマとか呼ぶ…物質は物質ではない…信念なの…」

 

たける:「その よう だ ね…」

 

たける:父は、人類にとって何よりも大切なものを明るみにしようとしてたのだ…

それは、愛の秘密…神の想い…美しき世界…この世界は僕らが思いもよらない素晴らしい世界だったんだ…と う さ ん…今、父さんのことが偉大に見える… 

なぜか、素直にそう想う。愛と正義のために誠実に生きる、あなたの子で良かった…

 

そして、この時はまだ、これから訪れる悲しみと苦しみの未来を僕は知らなかった…。

 

ティナ:「たける、続けていい?…」

 

たける:「お願いします…。」

 

ティナ:「それによっての状況…。一万年までへの過程を…レミリー、お願い…。」

 

女の人レミリー:「了解です…。たけるさん、行きます…。」

 

たける:「ハイ」

 

レミリー:「一体のものにバラバラに名称をつけることにより、また、五感によって強められ、生まれた
自我。そしてそこから生まれた分離感である自と他は、この世界にまたたく間に広がってゆきました…。

始めは、ほどよく万物の部分である自分を守る機能が、強まるにつけ、守れないのではないか、他がいるのではないかといった、信念が人に芽生えてゆきました…。その自我からくる恐れは世界を覆いはじめたのです…。」

 

ティナ:「まさかそこから、一体であるひとつのもの同士が強く物質化、分子化され、分かたれたと信じられ、争いあい、比較しあい、競争しあい、奪い合い、殺し合うとは、まだ誰も想像だにしませんでした。

そして、その闇は、人類を何より苦しめはじめたのです…。

私たちは、シッディテクノロジーで、それをシミュレーションしてゆきました…。

その結果、人類は分離の確信の中では、一万年も持たなかったのです…。

ではなぜ、たけるがいるのか…。

それは、いつの時も、ひとつなる一体性を持った愛の人たちが沢山いたからなのだろうとしか、思えませんでした…。仮に傷つけられても、決して傷つける人にはなりたくないという強い想いの美しいハートの人々が沢山沢山残らなければ、とっくに人類は終わっていたことでしょう…。」

 

ティナ:「愛の集合意識はと て も 大 き い…」

 

たける:なんてことだ…とんでもない…みんなが自殺する…みんなが…攻撃的人になる…分離感の恐れ…みな苦しんでいる…校長先生も答えを知っている…なのに何もできず、そして子どもたちみなが苦しんでいるのをみる…どんな想いだったのか…

僕はあぜんと立ち尽くすしかなく、悲しい自分をみた…。

僕も同じだ…人となった… いや、今となっては、エゴとなったのだ…。
分離の価値観、信念の中に埋もれている…。

つづく…。

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