君と逢える約束の場所 愛の未来研究室

次の日、研究室
ティナと勉強たける

ティナ:「私または自分(分離)が存在してると思うから、それを守ろうと、
未来の人々は必死に防衛し、争い、戦い、策をねり、不安となっていると思う…。
だから、未来は、苦しみの世界となってしまってる…。どう…。」

たける:「あるはずの自分を防衛するために、
本当は存在しない自分、私……のため、悩み、苦しんでいるということ…?」

ティナ:「きっとそう…。一体の私たちには分離がなくて、すべてがひとつなので、野心が起きてこない…違う?」

たける:「そうか~。分かたれてないことは、自我エゴがないということか~。
すべてがひとつにとけている…そこから突起した自己がないのか~。
守りたいと思う自己がない。イコール、怖くない…。
そして、自我の野心や念望もない。自分のことはどうでもいいとなるのかぁ…。
安らいでいる…争う必要がない…いないのだから当然。
でも、敵と味方、自分と他、そう信じてる未来人。
それゆえに、僕たち未来人は、分かたれ、自我防衛のため、殺し合う…ってこと?」

ティナ:「そうかも…。」

たける:「大変なことだ…どうしよう…そう思うのも、自我の防衛か…防衛か…。」

ティナ(村の人、研究を共にしている仲間たちへ):「みんなはどう思う?…」

男の人ウェル:「たけるさんにお聞きしたいのですが、
本当に未来の人々は争いあうと呼ぶ、戦いと呼ぶ、傷つけ合いをしているのでしょうか?…」

たける:「ハイ、みな苦しんでいます。疑心暗鬼の中…傷つけあっています…。」

ウェル:「そうですか…とても悲しいです…残念です…やはり本当ですか…」
村の人々は一様に動揺した…。
それを見たたけるは、違った意味で動揺した…。

たける(ひとりごとのように):「彼らは、未来の僕たちと、まったく違う…。分離を知らない、いや、信じられないのだ…。」

たける:「傷つけられるとき…いや、そうなりそうな時…
もし、一体のこの世界を知っていたなら、人はどうするだろう…僕は、どうするのか…。」

ティナ:「傷つけるということは、一体を知らないという罪となる…
それでも、傷つけられても応戦しないのは、一体を知っているあなたのように、愛を知ってしまった…
人のように、と わ に 愛しさのなかにい る …。ち が う …?」

たける:「そうだね……」
僕は、あまりの悲しみで、いや…愛しさで…たぶん…そこに立ち尽くしていた…。

 

ティナの研究室

次の日も、次の日もティナは研究室に向かい、一日そこを出なかった…。

仲間たちとともに、僕たち未来人のために研究を続ける努力を惜しまないティナであった…。

たけるの部屋の扉の前

男の人ヤン:「たけるさん、ティナが研究室であなたを呼んでいます。来ていただきたいと…。」

たける:「わかりました。したくが済み次第、すぐ行くとお伝えください…。」

ヤン:「ありがとうございます…。」

みんな誠実で良き人たちだ…。誰のこともまるで愛してしまうようだ…。

僕は、急いで用意をし、ティナの研究室に向かった。

研究室の前で、扉ごしにみなの声が聞こえてきた…。

 ヤン:「やはりそのことは、たけるさんに伝えるべきでは…。」

 女の人ヨミ:「一体を失ったらどうなるのかは、つらいことでしかありません…。」

ウェル:「しかし、お伝えしたほうが…。」

ティナ:「すべては万物が決めることは、人類は知るべきです…。」

みんな:「…………。」 

トントン

たける:「タケル、参りました…。」

ティナ:「やっぱり、マ ジ メ…。フフフ…。」

ティナ(ひとりごと):彼はこえれる…

ウェル:「たけるさん、私たちはあなたのお父様と約束をしました…。

彼は大変誠実な方です。私たち、彼を愛しました…。そして、人類を愛するあの方の想いのため、この研究室が生まれました…。未 来 の 人 類 を ど う し た ら 救 え る の か……

隔たりである分離を人類がこえれるのか……。」

 

ヨミ:「あなたのお父様は、私たちに必死に頼まれました。世界の人々を救いたいと…私たちの未来を…。

私たちは涙があふれ、一万年先の未来のため、あなたのお父様の想いのため、ずっと未来の人の悲しみを癒やすものを探し続けています…。彼の誠実な純粋な想いを叶えたくて…。」

 

たける:僕は、何も父のことを知らない…。今つくづくそう感じる…悲しい…嫌いだ…でも、愛しいのか…お父さん…ゴメン…。悲しいのに、好きになるのはなぜか…。

立ち尽くすたけるに…ティナが…。

 ティナ:「たける、今から私たちが伝えることは、未来の人類にとって、とてもつらいことよ…。

もしかしたら、私たちにとっても……。」

たける:「えっ!……」

ティナ:「分離は神が嫌う…。ひとつなる創造の主体の私たちは、分かたれをケガレと認識し、払おうとする…。そのメッセージの強さは、核分裂に匹敵する…。本当は一体なるイヤシロの世界の中、分離をもし妄信したなら、たぶん人類に…そして個人にも…未来はない…。」

 ティナ:「これから、それぞれの担当が、研究成果のほんのさわりを伝えるわね…いい…?」 

たける:「ハッ…ハイ!…」

ティナ:「それでは、原因担当のヨミ、伝えて…」

ヨミ:「ハイ…。なぜ、人が楽園を出てしまったのかです…。ひとつの一体のものの部分に、それぞれ名称をつけ、そうです言葉というものを生み、これも一体を分解するというものでありますが、名前をつけ、分かたりを感じさせます…。

そのときから、分子と未来の人類の方々が呼んでいるそれぞれは物質化を強めます…。

次に人類は、その名称からくる分離感を、本気で信じはじめ、自我と他、自分と別であるを信じはじめました。そして、知識と呼ぶ、名称づけでできている考えを強く信じはじめ、分 か た れを信じてゆきます…。よろしいでしょうか…。たけるさん…。」

 たける:「アッ…アッハイ……。」

 ティナ:「次に五感です。それぞれが自ら部分を制御するため、それは便利さのために創造が生み出したもの。部分を五感で管理する目的で作られたと思われる五感は…ハイ、ヨミどうぞ…。」

ヨミ:「ハイ、そうです。五感の特に触覚しょっかくは、自ら、万物の部分を守る、また動かすには必要なものですが、ここまでが自分であるという信念、観念を強めてしまうことともなります…。そうなると、体の物質化、分子化が進みます。動植物さんたちも、触覚のため、自と他を強く区別しはじめてしまいます…。」

ティナ:「五感の効能についてはどうでしょう…。」

ヨミ:「それは、特に防衛系。例えば、倒れない。落ちない。よける。痛み、傷を知ることで治そうとするなどの、必要とされるものが多々あります…。逆に、防衛系が強化されるため、注意も必要です…。」

 ティナ:「過剰な防衛、また、猜疑さいぎ心しんや疑心ぎしん暗鬼あんきとか?…」

 ヨミ:「ハイ…要するに、必要かつ慎重に扱わなければ、これも分離感を即す、分かたりの原因になると想われます…。」

 ヨミ:「それから、そこから生まれた名称や五感をあまりに信じすぎると、自我が強化され、物質化が進み、一体や未知が失われ、創造の想念界が薄まり、物質、分子界が濃く増えてゆきます。デメリットとしては、その信念から生まれる観念たちは、人を恐れの中に誘います…。」

ティナ:「たける、聞いてる?…ぼーっとしてる?…。」

 たける:「アッハッ…ハイ」

ティナ:「やっぱり…マ ジ メ」

たける:この人たちこそ、本当にまじめに父の頼みを本気にして頑張ってくれている…。

そして父は必死に、僕らの未来を良くするために、命をもかけていた…。校長先生もそれを知っていた…。

僕は知らず、ただ、ダラダラ生きてきた…気がする…なぜか か な し く て つ ら い…

…そしてなぜか う れ し い…

たける(なにかビシッと…):「ハイ、聞いています…先をお願い…します…」

ティナ:「ちゃんとし て る…」

ヨミ:「続けます…物質化について…シッディテクノロジーについてです…。

この世界は創造主体の想念でできています…。その子、部分、分身である私たちにも、その物質化が許されている範囲があります…。

その万物の子たちの身近な出来事は、私たちや近くの人々の想念、また、想いの集合によって、現すことができるようになっています…想念の確信が、分子化、物質化を強めます…一体性を持ったリアリティーの価値観は、電子がきれいに美しく回り、私たちがイヤシロと呼ぶ状態を創ります…。

また、分離感から生まれる、また影響を受ける分子、原子は、電子がきれいに回りません…。私たちは、それをけがれたと呼びます…。ここまではよろしいでしょうか?…」

たける:「ハイ」

ヨミ:「そこからできた分子の物質界は、エントロピーと皆さんが呼ぶ劣化が必ず増大する世界となります…。腐食や酸化のことでもあります…。」

 ティナ:「ヨミ、そこで待って…」

ヨミ:「ハイ」

 ティナ:「たける、ここまではいい?」

 たける:「アッ…ハイ…」

 ティナ:「壁に入ったとき、光輝いていたでしょ…岩なのに…」

 たける:「そ・う・だ・ね…」

 ティナ:「岩は現実じゃない。すべてこの世界は想念の海なの。美しき神の夢。あなたたちは、それを素粒子とか、電子、フォトン、またプラズマとか呼ぶ…物質は物質ではない…信念なの…」

たける:「その よう だ ね…」

たける:父は、人類にとって何よりも大切なものを明るみにしようとしてたのだ…

それは、愛の秘密…神の想い…美しき世界…この世界は僕らが思いもよらない素晴らしい世界だったんだ…と う さ ん…今、父さんのことが偉大に見える… 

なぜか、素直にそう想う。愛と正義のために誠実に生きる、あなたの子で良かった…

 そして、この時はまだ、これから訪れる悲しみと苦しみの未来を僕は知らなかった…。

 ティナ:「たける、続けていい?…」

たける:「お願いします…。」

ティナ:「それによっての状況…。一万年までへの過程を…レミリー、お願い…。」

女の人レミリー:「了解です…。たけるさん、行きます…。」

 たける:「ハイ」

レミリー:「一体のものにバラバラに名称をつけることにより、また、五感によって強められ、生まれた

自我。そしてそこから生まれた分離感である自と他は、この世界にまたたく間に広がってゆきました…。

始めは、ほどよく万物の部分である自分を守る機能が、強まるにつけ、守れないのではないか、他がいるのではないかといった、信念が人に芽生えてゆきました…。その自我からくる恐れは世界を覆いはじめたのです…。」

ティナ:「まさかそこから、一体であるひとつのもの同士が強く物質化、分子化され、分かたれたと信じられ、争いあい、比較しあい、競争しあい、奪い合い、殺し合うとは、まだ誰も想像だにしませんでした。

そして、その闇は、人類を何より苦しめはじめたのです…。

私たちは、シッディテクノロジーで、それをシミュレーションしてゆきました…。

その結果、人類は分離の確信の中では、一万年も持たなかったのです…。

ではなぜ、たけるがいるのか…。

それは、いつの時も、ひとつなる一体性を持った愛の人たちが沢山いたからなのだろうとしか、思えませんでした…。仮に傷つけられても、決して傷つける人にはなりたくないという強い想いの美しいハートの人々が沢山沢山残らなければ、とっくに人類は終わっていたことでしょう…。」

 ティナ:「愛の集合意識はと て も 大 き い…」

たける:なんてことだ…とんでもない…みんなが自殺する…みんなが…攻撃的人になる…分離感の恐れ…みな苦しんでいる…校長先生も答えを知っている…なのに何もできず、そして子どもたちみなが苦しんでいるのをみる…どんな想いだったのか…

僕はあぜんと立ち尽くすしかなく、悲しい自分をみた…。

僕も同じだ…人となった… いや、今となっては、エゴとなったのだ…。

分離の価値観、信念の中に埋もれている…。

人類が分離化してゆく過程と、これからの未来について

ヤン:「レミリー、ありがとう…ここから先は代わりましょう…。」

レミリー:「ハイ」

ティナ:「ヤン頼みます…ここからは、そこからの流れ…過程に入ります…」

ヤン:「たけるさん、よろしいですか?…」

たける:「ハッ…ハイ…。」

ヤン:「もし、人が分離を本気で信じた場合に起こってくる、状況シミュレーションの一部を、ご説明いたします……。」

うなずく たける…。

ヤン:「まず自分と他という分離のもと、自我・私が発生します…。はじめ、万物の一部として人が生まれ、3歳ぐらいまでは、言葉も五感も薄いため、愛、要は一体の中に暮らします…。私たちの時代のように、霊的一体性の文明の中では、それが長く続きます…。
たけるさんの時代の方々は、人それぞれの環境によって、少しの違いはあっても、たぶん3歳頃までに、自我の形成をしてしまうことでしょう…。
そして、その自我形成を、良きものとして扱われているようにお聞きし、また、調査してまいりました…。
ゆえに、一体の愛の中に暮らすことのできるベビーは、3年ほどと見られます…。」
たける(ひとりごと):「なんてこった…それでは絶望じゃないか…。僕たちは愛を、安らぎを、癒しを…
子どもの頃に…失ってしまう…と い う の か…。」

ヤン:「続けます、たけるさん…」

たける:「アッ…ハイ…」

ヤン:「自我形成の、最大の人類にとってのデメリットは、自我の終焉、自我の危険、自我の終わりへの恐怖であるでしょう…。要は、死の問題です…。それゆえに自我という分離の最大の問題は、恐怖なのです…それを、これから自我ゆえの恐怖と呼びます…。」

ヤン:「私たちの今の世界は、あらゆる方々が物質、要は分子の終わりを死と呼ばず、そのようなことを思いもしません…。すべてが霊的、また素粒子とたけるさんたちが呼んでいるものの、本当はひとつなる世界です。腐食も酸化も、死も生も、永遠の創造主体の夢の世界です…。
すべては一体だと気づいています…。そこは、たけるさんたちの世界とのかなりの差、違う点です…。
ですから、私たちには部分もなければ、その部分の終わり“死”がありません…。
もし、この美しき世界を分子だけのものと信じ、分離したものと捉え、それが腐食酸化し、老い、病となり、死すると思い込む場合、人はその恐れから自己保全、自己拡大、自己の防衛、そこからの闘争、競争、せめぎあい、騙し合い、自我の高揚うぬぼれ、舞い上がりに、駆られる人々も、きっと生まれることでしょう…。
そのような自我や分離を妄信した世界の中であっても、科学的には素粒子、いや、霊的世界であることに
目覚め、また感じ取る人々がいるならば、自我防衛のための滅びは、個人のものと限定され、その愛の集合意識の強さのため、まぬがれることも考えられます…。」

たける(つぶやき):「なんていうことだ…とんでもないことになっている僕らの世界……
愛するテラ…愛する山や川や海、大空…動植物たち、人類………」

ヤン:「続けます……」

ティナ:「待ってヤン。ここからは私が……」

ティナ:「たける、よく聞いて。大切なこと……。創造主体は、今、悲しみの中…ある意味悔やんでいる…私たちが分離の価値観へと変わり、良かれと思い、創造が創った仕組みによって、創造の子どもたちが今にも滅びてしまいそうなことに……でもね……決して滅びたりしないって、私たちは想っている……。」
なぜか、研究員のみながそこに並び、うなずいている……

ティナ:「なぜかわかる……?」

たける、力なく首をふる

ティナ:「あなたが来たから……あなたのお父様は、私たちに真剣に依頼した……命をかけた旅。そして時を移動するプラズマの機器を創った……そして、あなたを送った……私たちは答えを見つけてる…人類が共に生きれなくなった究極の原因に、今、誰より精通している私たちは…人類の未 来  創 れ る……
美しい世界  愛はと り も ど せ る……人類に私たちのメッセージを届けて……」

たける:それから数日、研究室に通い、僕は初めて、生まれてから初めて、学ぶという喜びを骨にしみるほど感じていた……。それは感動と希望に満ちた、それなのに分離のない自我の念望でない、一粒の大切な宝のように感じる、真の未来の人類のための学びであったのだ……
人類が互いの分離の痛みを深く理解することができ、互いの心の傷を思いやり、助け、互いの違いの価値観を埋め、永遠なる命に気づき、愛と感謝が芽生えてゆくのを僕は夢見始めている……
彼らの誠実で、真に熱心に父の頼みを聞いてくださった方々の思いやりと、その姿に…真の尊敬と愛しさを僕は表さずにいられなかった…。目には水、いや、今では本当の多分 な み だ になって、落ちていった……。と め ど な く……

次の日も、僕は研究室にいた……。

ムルテ:「たけるさん、お疲れじゃないですか?続けてよいですか?……」

たける:「アッ…ハイ…もちろんです…ありがとうございます……。」

ティナ:「マ ジ メ ク ン…クスス」

ムルテ:「ですから、分離の価値観の中で、人類は私とか、自分の味方と言えるそのグループ作り、団体起こしをきっとすることでしょう…。その団体同士は、争うことでしょう…。そして、テラ、万物の、また創造主体の創造、いや、夢による、夢で創られた世界。そのすべてを所有できるときっと思うかもしれません…。そして、得れないと思う人は、怒る人もいることでしょう…。
ところで、たけるさん。私たちは、分離、恨み、戦い、憎しみという価値観はないのです…。
この研究のために学びました…あしからず…。」

たける:「あっあの…みんな、残念なことですが、おっしゃるとおり、そうお も っ ています…」

ムルテ:「そうですか…やはり…ありがとうございます…。ですから、万物の一部を所有したと思う人、
また、その許可を出したと偽る人や国というものが、もしかしたら生まれるかもしれません…。」

たける:「アッ、ハイ…生まれました…。」

ムルテ:「そうですか…とても残念なことです…すべては神、いや、万物自然のもの、テラのものです……一体のすべてのものの世界です……し か し、そうですか…や は り…(ムルテ ためいき)そうなるのではないかと、心配していました……。」

たける:「あなたの研究のとおりになってしまっています…。」

ムルテ(ためいきと共に):「あ り が と う………」

ムルテ:「たけるさん、もしかして人は、愛(ひとつ)を失って、冷たく、冷酷で、騙しあったり、奪い合っている。自我の防衛のための野心にさいなまれて、いらない自我の拡大のためのものを集め続けていると、お父様が言っていたことは、本当に真実なのですか……。」


たける:「あなたの研究結果通りに、人類はなってしまっています…。」
深き、深きため息の二人………

ムルテ:「たけるさん、では続けます……もし、人類が分離を妄信し、分かたれとなってしまったなら、自我は当然、争い、競争に明け暮れ、自己という妄想からの、私の拡大、高揚を野心としてしまうことでしょう…。そのとき、自己保全、拡大を目的とした所有は世界を覆い、その自我の所有を守るために一体同士が戦い合うこととなるでしょう……。」

たける:「たしかに……そうなっている……」

ムルテ:「それでも、今の私たちの、一体の世界の記憶を持ち続ける人は、何千年か、当分残ることでしょう…。それが、唯一の希望です。彼らは定住、所有、自己拡大、争い、要は分離を嫌うことでしょう……。」

ティナ:「すべてはテラの、いや神のひとつなるものであるから……」

たける:「………。」

僕たちは一体である他に勝つために生きているというのか……分離的、攻撃的な人を探しては、見て恐れ、つけいられないように怯え続けると………。
うなだれて、僕は研究室を去った。ティナが僕を心配そうに見ているのはわかったが…答える気力もなく…僕は深き絶望と…人類の未来を見つめ……ため息に潰されていた………。

しかし、反面、ものすごい、いや、強い期待と可能性を同時に見えていたとも言えるのだ……。
それは、ここに来て、父が見た人類の生み出す…愛の未来への可能性であっただろう……。絶望する人々に、大きな、大きな希望をもたらす、愛の未来が創れると、今、僕は語り続けようとしている…。
発表の最終日、僕は結論のレクチャーを聞くために研究室に向かった…。
そこには一体なる…みながいてくれた…。ただそれだけなのに…
それがなぜ、そんなにうれしいのか、わからなかった…。

ティナ:「たける、今日は最終日。エミナから伝えてもらいます…。」

たける:「ハイ、お ね が い し ま す…まじめな僕です…。」

ティナ:「何言ってるの?……」

エミナ:「たけるさん、エミナです。今日、担当します…。」

たける:「ハイ、おねがいします…。」

エミナ「ワンウィークにわたり、沢山、沢山、人類の未来対策について、伝え、語り合ってきました。
その中でもとても大切な解決策について、今日はお話ししてゆきます……。」
うなづくたける

エミナ:「まず一番大切なことは、自我からの解放のよ ろ こ びです…。私たちは何も所有していないのに、すべてに満たされ、すべてに恵まれ、至福に暮らしていますが…。ある意味、すべては私たちのものでもある…。なぜすべてを逆に自我の防衛、所有に変換してしまい、未来の方々が苦しみの中に、なぜ、いつづけているのか…。自我の所有や防衛は、幸せを決して生まないと、未来の方々が知ったなら、分離を捨て去り、自我の拡大をやめ、つくづく嫌となり、自縛から真に解放されるのではないかという点です……。」

ティナ:「私たちは2つの点に答えを導き出しました…。それは、人の真の喜びと、真の悲しみです…。」

ティナ:「それは、自我の喜びでも、悲しみでもありません…本質の喜びです…。自我(エゴ)で集めたものを捨て去る最高の解放の喜びを知るという方法です…。
分離したものの悲しみに人がつくづく気づき、分離していない世界の喜びに切に震えるときに、そのいらないそれらを捨て去り…万物の一部としての、すべてある、いや、あったものへ還るのなら、誰もが自我の自縛から目覚め、解放されるという、科学的事実です…。
自己拡大も、保全も、その恐れも必要ない人々が、本当は存在しえたことこそ、それこそが万物の美しき事実に沿った、素晴らしき気づきであることでしょう…。未来の人々の知らないことの大切なひとつが、本当は存在していない自我の作り出した城、または防衛のためのあらゆるもの、自己保全のため、その拡大のためのすべてを、妄想ゆえに手放すという喜びと解放。エゴシステムからの離脱の喜びは、それが万物創造主体の望みであるゆえに、真の成功や繁栄を伴うことを知ることです…。」

たける:「アッ……。」

エミナ:「続けます…。そして、事実と妄想の開示です。人間の目は、分子と呼ぶ物質的状態しか、残念ですが見ることができません…分子の世界は、分かたれて見える世界です…。しかし、事実は、すべてが素粒子と呼んでいるものの海…。その濃淡であります……すべてはつながっていて、一体です…。

また、その素粒子は、そう名づけられてはいますが、とわに分かることのない、神秘なるものです…。せめて、私たちに理解できることは、その機能の一部、たとえば想念によって物質ができているといったことであることでしょう…。
それゆえに、すべての子どもたちが真実を学べることが、何より大切です…。この世界が一体なこと。未知で神秘の中であり、創造の主体の夢のようなところであること。

エミナ:「すべてのものは名などなく、人間が名づけただけであることなど、真実を学べるようにしてほしいのです…。そして、もっとも大切なことで、それは二つ。万物はひとりゆえに、一者の夢ゆえに、分かたれを非常に嫌い、それを戻そうとするという、バチと皆さんが呼ぶものの強力な力です…。その爆発的な破壊力と、原子の破滅についてです…。
もうひとつは、物質化、分子化です。言葉によって名づけられ、信じられ、見られるものは、分子化を強めるといった事実です…。それを見てあげることが少ないとき、分子は根源に戻ろうとするのです…。素粒子化です。意味や名称がないとき、根源に還る力が働き…。意味や知識、言葉付け、名称づけ、信念、観念は分子化を強めます…。人類の科学者は、そのシッディを強く学ぶ必要があります…。
そして科学者の目覚め、真実への解明力、あなたのお父様のような、今こそ大きな気づきと、シフトが人類には必要です…。」

それから時が流れ、沢山のレクチャーを聞き、時はすぎていった…。
その最後に、ティナがまとめとして、とてつもない悲しみと、愛の未来の可能性を伝えてくれた…。

ティナ:「今から話す話は、きっと大変つらいものになります…。
きっと、人類の未来のために、どうしても必要ならば、お伝えしなければなりません…。
それは、一体を乱す、また、分離を信じ、分離を促進するものには、創造の主体は、大変なエネルギーで、メッセージするという事実です…。自然界の力で、濁流、津波、とんでもない嵐、大地震、大噴火、とんでもない飢饉、報道、戦争、あらゆる人類の困難によって、気づかせようとする(殺戮)素粒子的、科学的にメッセージを生みます…。」

ティナ:「しかし、一番やっかいなのは、素粒子体、原子核の破壊、核分裂の力、それが最も恐ろしいものです…。人は、分子の関係を失っても、素粒子体、電子体が残るのですが…その永遠の命が壊されてしまう…。そのことを、真に科学的に人類が知ったなら、自我の拡大、高揚、闘争、争いは、あまりにおろかゆえに、やむことでしょう…。」

ティナ:「だから、今、私、それを今、あなたに伝えなければならないのです…。分離した自らを罰する力は、大変強く破壊的です…しかし、分離を信じて、悪くなってしまった人たちを、見捨てることはできません…。だから、あなたに言うことにしました。許して…聞いてください…。つらい話だけど…。今、人類は真剣に科学的に分離の問題に気づく時です…。」

ティナ:「たける君。だから、自我が、勝ったり、良くなったりしなくてよいのです…。自分(エゴ)を守ろうとせず、エゴの守るものすべて、手放してよいのです…。
自我の集めたものは、本当はがらくたばかりなのです…。自我の集めたものに、良きものはひとつもないのです…。自我の人間が創ったものに価値はありません…。天や、神が、自然界が創ったものにこそ、真に美しく価値があるのです…。そのことを、人類に気づいてもらってください…。おやすみなさい……」

ティナ「いとしき人…」

たける:「何か言った?……」

ティナ:「ハイ……そしていいえ……」