君と逢える約束の場所 ティナとデート

そして、次の日の朝…

トン・トン・トン ノックの音

たける:「ハイ……何か……アッ……ティナ……」

ティナ:「今から飛ぶわ……行くわよ……」

たける:「アッ……ハイ……」

ティナ:「美しき本当の世界、ひとつなる楽園……すべてが愛でできている、
素晴らしき星、み せ て あ げ る……」

僕はティナと一緒に、この半分霊的世界の残る、楽園の中を飛んだ……。

岩の中、山の中…

滝を抜け、谷を下り…森を眼下にして…美しき空…雲の中を飛び……大地の中にも入り、はてのない宇宙のはてまで飛んだ…。

たける:「あぁ~~~隕石飛んできた~~~~~ぶつかる~~~~~~
入っちゃうぅぅぅぅ~~~~~~~」

ティナ:「大丈夫。一体。」        
それから僕は、ティナと2人でこの美しき星の隅々を旅した…。

美しき川、湖、山々、海の中へ…そ し て

ティナ:「これから原子、素粒子側の中に入る……いい!」

たける:「アッ……ハイ……」

たける:「アッーーーーーーーーーーー」

たける叫ぶ:「ここはなんなんだ!ものすごくまぶしい光の粒が炸裂している!
美しい、美しい、きれい!ティナもきれいィ…」

ティナ:「なにどさくさに……本音言ってるの………」

たける:「………アァーーーーーーなんだこれはーーーー」

たける:「とんでも~~~~~~~アァーーーーーーーー」

たける:僕は、美しさと輝きの極限に溶けた世界の中……
か ら だが……ない………きえた……

ティナ:「何が?……」

たける:「からだぁ~~~~~~~~
か ら だ う し な っ たぁ~~~~~~~」

なのに、僕がある……まだ人間……の……まま……なのに………僕は誰だか……思いもしない……
今がいつかも……どこかも………興味すらない………ただただ美しい光に包まれた……
…し ふ く    これがそうなのか……強い光の中なのに、まぶしくはない……
…自分がいても、誰だかはい な い………

誰もがひ と つ   この僕と感じているものに誰がなっても……問題はない……

不可思議な感覚……五感もない………

もしかしたなら……………

ここはすべてがひとつの中となるのか………

すべてがひとりなのか……………

そうだ…………きっと……………そうだ……………

と つ ぜ ん からだがないのに、からだのようなものが硬直したように、とんでもない快感が僕を走った…。いや、からだがないのに、からだ全体にとてつもない快感がしびれるように、少しの間、いや、長いのか……続いた………

僕は飛びながら、硬直している感があった…。

きっと、こっけいな姿だろう……その時、ティナが言った。

ティナ:「そうでもないよ……」

たける:「えっ!………」

僕の考えは、すべて伝わっていた………

ティナ:「今、真我の中………喜び、至福、愛に包まれる、ひとつになる………
とてつもない快感の中、今、あなたはいる………でも………ゆえにたけるはいない……
私など本当は存在しない………すべてひとりであるの………みんなつながっている……
創造の主体と………あなたたちはそれを愛………または神と呼ぶ…………
すべてはひとつゆえに……それゆえに、人間界で習った、そして備えた分離の観念は、すべて価値がない…
宇宙は分離でできていない…… そのすべては、愛でできている………すべてはひとつに……」

たける:僕は、とてつもない至福の中、空中をさまよった。
自我のない、肉体のないときの喜びは、万物に、いや、創造主体にとけてしまう喜びや快感は、言葉でははかりしれないものだった…。人類は、これを失ってしまっている…。愛より、分離した自我の向上や野心に、そして、恐れにさいなまれている……その自我のまま、あらゆるごまかしを尽くしている…。

ティナ:「そう、そのとおりなの……」

たける:「また、考え 見られてる……」

ティナ(テレパシー的会話で):『答え、結論を話さずに伝えるわね…感じる?…聞こえる…?』

たける:「アッ…ハイ……」

ティナ(テレパシー):『言葉にしなくていい……ハートで伝えて…心の中で…つたわりあえるから……』

たける(テレパシー):『本当だ…………』

ティナ(テレパシー):『結局、世界が滅びるすべての要因は、愛、要は一体性のこと……それの欠如なの……万物が一者で一体なことを知らない…特に科学が……そのため、自我という分離を本気にして、
人々は生き、その誤った防衛のため、偽りの自己を守るために戦い合い、自己の拡大、自己向上を願う……。

だけど、その分離のため、至福を失い、お酒やドラッグに頼るようになる…そうしないと……本来持っている至福を保て……ない……。争いや比較、自我という分離は、科学的真実でない上に、大変な苦しみと破滅的なものなの……』

たける(テレパシー):『本当にそ う だ……本当に………そうだ……』

ティナ(テレパシー):『だからこそ、一体性の気づきを、真実の科学を取り戻して、人類も、人も、みな愛に還るなら、自我の野心につくづく嫌気がさし、健全な社会となれば、文明は美しく開花するわ…。人は幸せに、とこしえに生きれる………あとは、その未来の人類の大切な気づきをみんなに届け、真の成功と繁栄、幸せを遂げてもらう……部分にも、全体にも、万物に、一体に合った本当の愛・ひとつの中にしかない、幸せを取り戻してもらうことよね……。そうでないと、自らを罰し、人類は滅びてしまうから……。』

たける(テレパシー):『本当にそ う だ……』

 

ティナ(テレパシー):『だから、これを物語にしたりして、世界へ届けて……未来の人たちに届けてあげて……それがあなたの役目ね……』

たける(テレパシー):『そんなこと、僕にできるのか……。まだ高校生だし……』

ティナ(テレパシー):『変なことまた言ってる……』

たける(テレパシー:『アッ…読まれてる………そうだ……アニメはどうだ………』

ティナ(テレパシー):『なにそれ………アニキ?………』

たける(テレパシー):『いや………いいんだ………ちょっと思っただけ………』

ティナ(テレパシー):『きっと、それになる………』

たける(テレパシー):「エッ………。」

たける(心のなかで):万物が科学的にひとつであることを、人は知らずにきた……その効果が絶大に人を縛っているとは、誰も夢にも思っていない………

それは所詮、負けず嫌いの精神世界のたわ言にすぎないぐらいに、きっと思っている人もいるのだろう…。

しかし、それらを遥かにしのぐ真実、事実、科学的現実が、そこに横たわることも、知らなければ人類は
破滅するだけだろう……本当に……本当に科学的に、ひとつなる神秘の中なのだ…。

望もうが、望まないが…。

ティナ(テレパシー):『宇宙に元から備わっている強き法則がある…何者もこれを免れえない……。

一体のときに、繁栄や幸せがあり、分離の時、破滅や破壊のメッセージとなるという……こと……人類は、今こそ、そのことにつくづく気づく必要がある……』

 

たける(テレパシー):『そうだね…ティナ……君の言うとおりだ………僕は今……人類史上最高の重要な叡智と、そのメッセージを得たのだろう……』

 

たける:静かに、ティナと僕は大地に降り立った……。

しっかり握った手に、僕だけ汗かいていた………。

ティナ:「手に湿気があるね。スチームみたい……。緊張したかナ………。」

たける:「アッ…ハイ……ティナがきれいなので………。」

ティナ:「何言ってるの……また……そうではなくて、一体の神秘の中に、初めて入ったからでしょ……。」

たける:「それもありますが……これも………」

ティナ(テレパシー):「意外に、わ る い子………」

帰り際に、ティナがテレパシーで伝えてきた……。

ティナ(テレパシー):『たける、私が歌うの見たい……?』

たける:「エッ……ハイ……」

ティナ:「そう………見せてあげる………お別れのうたげで………。

それから明日……一日、デートだから……。」

たける:「エッ~~~!何!………」

ティナ:「お別れの前に………」

 

たける:僕は、森の中を歩く帰り道、心地よい至福感の中にいた……。一体の世界……霊的……性質を強く帯びた…これが非現実世界の素晴らしさ、そして真の安らぎなのか……

そして、明日はティナとデートだ……非常に嬉しいのは、や は り   そ れ か……

誤解しないでほしい……恋……そう、恋している……

この美しき世界と…ティナに……

次の日の朝。

扉を叩く音。もう十分にしたくをした僕は、胸が高鳴って壊れそうだった……。
嬉しくて、扉を開けた瞬間、そこには、ゴンたち動植物のみなみなが、行儀よく並んで立っていた。
そこに、ティナはいなかった……。

ガビィ~~ン

リーダーのゴン:「ティナが丘で待っています…。僕たちと一緒に来てください…。
道すがら、この星の、森の秘密をお伝えしてゆきます……。」

たける:僕は、美しき動植物さんたちと、デートとなった……。
ティナは、僕が帰ろうとしていることに気づいている……友だちのこと……
父母、特にきっと待ってるリリのこと……。分離世界で苦しむ仲間たちのこと……。
だから……お 別 れ( さ よ な ら ) の前に、と言ったのだ……

みんなと共に歩いている…。幸せな気持ち…。風が心地よい…体の中に溶けてしまうように…
実際、そうなのかも……みなも溶けている……

ゴン:「岩に入ってみましょう…。」

森の中、滝のある崖にゴンさんが入ろうと言った……。
ついてゆくと、みな岩の中に溶けたように入っていた…。
僕もそうした……半分霊的な世界ゆえのマジックだ……。
岩の中は暗いと想像するだろうが、キラキラと輝き、自分のからだは消え、癒され、溶けてゆく…。

岩が自分か、自分が崖になったのか、わからなくなった……動植物さんたちとも共に溶けて、一体になってしまった…。みなと共に溶けてしまった素粒子の中から、崖の上に出た…。

ティナ:「待っていました…。崖の中はどうだった……。」

たける:「綺麗でした…ティナ…」

ティナ:「まぁいいです…。ではデートよ…みんなで……」

たける:「エッ!エェ~~み ん な~~!動植物さんたちも……」

ティナ:「うれしい?……」

たける:「あっ…あっ…ハイ……」

ティナ:「マ ジ メ………」

たける:「ありがとうございます……。」

ティナ:「今からみんなで美しい森の美しい水、池で泳ぎましょ……。」

美しき森の中で、光輝く水へ……キラキラとまぶしいほどの光が、からだをすり抜けてゆく……

ゴンたちが水の中に溶けてゆく……このあと信じられないものを見る……
美しきティナが服を脱いで、水に入っていったのだ………
信じられない光景だ…なんとキレイなんだ………。
僕も服を脱いで水の中へ…
あたたかい…いや、水じゃない、素粒子ゆえに、混ざってしまう感覚は、体験したこともない不可思議な心地よさだ……。
水となり、水は僕となった……。

ゴンたちとも溶け、ティナとも……し ふ く 幸せ すべてとひとつとなった……

快楽は、極限までつらぬいた…僕は、初めて、はじめて、水となった……。
初めての、とんでもない快感は、人間界のあらゆるものを遥かにこえている……。
自我の肉体がないということは、こんなにもとんでもない至福なのか……
我がないとき、人は真に幸せになる…快感の中に入る…。
我のとき、重く、苦しい……。すべてと共に溶けるとき、至福に、幸せとなり、逆に分かたれて、分離したと勘違いしたら、苦しくなるのだ……。
僕はつくづく、それを感じ取って、真実を悟ることとなった…。
生きる喜び、生きる幸せ、最高の人生はある。一体のときに…。

神はいないと言う人がよくいるが、彼らは自我の中で苦しんでいるに過ぎない。
そこから出る喜びを知らないだけだ……。

自分、要は自我、分離は、人を不幸せに。
一体に溶けるなら、あらゆる至福と快感を人類は得る…。

僕は、すべての答えをすでに得ていた。人類は、分離を終わらせ、真の現実の中に、一体の中に溶けなければならない…と、つくづく感じた…。そして、その至福からのみ、初めて美しき文明が生まれる…何千年…何万年続く、愛の楽園を生み出せるのだ…。

泳ぎ疲れたのか…いや、あまりの至福に失神しているように…僕は水辺の砂の上に、境界線もなく、溶けていた……。流れるときをこえた喜び…。

ティナ:「今から…丘の上の大きな木の下で、たけるくんと大事なデート…いいえ、お話があるから、みんなは帰って……」

動植物さんたちみんな:「エッ~~!何…ウソ…」
動植物さんたちは、何か不満げに、互いに見つめあった…。
僕だけは、その中でひとり、嬉しそうだった…

これも自我か?……
わからなかった……。
大きな栗の木の下だった……ティナは綺麗だった……

ティナ:「もし、あなたが帰ってしまい、もう戻れなくなったら…と…不安に感じる…何かある…でも……あなたはすぐに帰る方がいい……」

たける:「えっ!なんでそれ、どうゆうこと……。」

ティナ:「わ か ら な い…
だから今日、お別れのうたげを開くことに、
みんなで決めました…明日、あなたは戻って……。」

たける:「えっ…でも…僕は、ここが……」

ティナ:「だめなの。大事なこと。帰らないとだめ…。何かある……。」

ティナ:「それでたける、もしあなたがここに戻れなくなったら……。」

たける:「そんなことないヨ………。」

ティナ:「もしもよ……だから、私はいつも、この丘で、この木の下で、何万年でも、あなたを待っているから…それを忘れないで……。」

たける:「ティナ……」
美しき風が、からだの中を通り抜けてゆく…。
素晴らしき世界に、僕は愛しくて抱きしめたかった…でもできなかった……。

ティナ:「そ れ か ら…もし、傷つくようなことが、つらいことがあって、傷つけられたとしても、戦ってはだめ…ここでの真実を、いつも胸に抱き…私を抱き…すべてを……抱きしめて……す べ て を…ゆ る す……。」

ティナと僕は、森の中を美しい世界の中を、愛でいっぱいで、胸いっぱいで、二人歩いた…

生まれてはじめて、愛しさは僕を貫き…愛は僕を崩した……

明日、僕は、一万年先の世界へ帰る…。